カーペットナイフVer3.2サイドリンクの構成

カーペットナイフは一般的なTバーカーと違いシャーシ左右両端にサイドリンクを持っています。このリンクの長さを変えたり角度を変えることでロール時の振る舞いを変えることができます。今回はこの辺を説明したいと思います。

**このレポートは2004年2月29日にフォーラムに掲載した内容と同じです**

カーペットナイフのサイドリンク。やはりキット標準の位置から走行させ、長さや角度をいろいろ変えてみると勉強になります。

サイドリンクの長さを調整するにはオプションの3ピースリンクが別途必要になります(もちろん他社製でも可)

サイドリンクの長さは左右揃えるのはもちろんのこと、その長さもある 程度決まっています。ピポッドボール・シートを固定する「#1372 ピポッド・プレー
ト」両端の穴の中央にビスが位置するようにサイドリンクの長さを調整します。
このあと、説明書にある方法でサイドリンクの調整をおこないます。
サイドリンクが長すぎたり、短すぎるとピポッドプレートが突っ張ってしまい調整が困難になります。
まずはキット標準状態の動作を確認しましょう。写真はターンバックル式のリンクですが、長さと高さはキットと同じにしています。

【図1】
左の図はこの写真を図式化したものです。通常はこのように前後のボール高が同じになっています。

ロール時には図左側のシャーシ側ボールを中心にリンクが作動するのでロアプレート側ボールは青で示した軌跡を描くことになります。

【図2】
リンクを上側に動作させたとき(ロールしたとき)は次のようになります。

このときシャーシとロアプレートが近づいていることに注目しましょう。

【図3】
リンクを下側に動作させたとき(ロールしたとき)は次のようになります。

このときもやはりシャーシとロアプレートが近づいているようです。

図2、図3の状況をシャーシ上から観察すると次のようになります。赤い矢印のようにシャーシとロアアームを近づけようとする動作がおきます。実際にはシャーシとロアプレートはピポッドプレートで前後方向が固定され
るため図のような力はかかっているはずですが、動作はしません。 手でリアポッドをロールさせてみると最後の方ですこし硬くなる 感じがするのはこのためです。実走行でそこまでロールすると思っていない ので走行には影響ないと僕は思っています。しかし気になる方もいるでしょう。 これを軽減する方法は後で説明したいと思います。

実際のシャーシで確認してみました。キャンバーゲージでタイヤの動作を確認。これは静止時
上方向にロールさせてみる。タイヤの位置は同じ。
下方向にロールさせてみる。やはりタイヤの位置は同じ。
次に意図的にシャーシ側のサイドリンク高を上げたときを考えてみましょう
写真はフルロール時に前後のサイドリンク(ボール)の高さが同じになるよう
にした例です。シャーシ側のボール高がノーマルに比べて高くなっています。
【図4】
これを図式化すると次のようになります。
ロール時には図左側のシャーシ側ボールを中心にリンクが作動するのでロアプレート側ボールは青で示した軌跡を描くことになります。

【図5】
図4のリンクを上側に動作させると次のようになります

シャーシとロアプレートが離れる方向に動作することがわかります。

【図6】
図4のリンクを下側に動作させると次のようになります

この場合はシャーシとロアプレートが近づく方向に動作することがわかります

図5、図6の状況をシャーシ上から観察すると次のようになります。

図は極端に書いてありますがこのようにロール量に応じてリアステア(4WS)を得ることができます。サイドリンクの高さを調整することでリアステア量をコントロールできることもわかると思います。また左右で動作が反転(一方は離れ、一方は近づく)しているのでロールの動作がよりスムーズになります。

実際のシャーシで確認してみました。キャンバーゲージでタイヤの動作を確認。これは静止時
上方向にフルロールさせた時。キャンバーゲージとの隙間が無くなり、外側に移動したことがわかる。
再び静止時のタイヤ位置。今度はキャンバーゲージとの隙間が無い状態にしておきます。
下方向にフルロールさせた時。キャンバーゲージとの隙間ができ、内側に移動したことがわかる。
ロール時にサイドリンクがおよぼす効果について説明してきました。 最後にその変化量を調整する方法を紹介します

左の写真はバッテリー前部にある「バッテリープレート」を固定する穴にサイドリンクを固定し、サイドリンクの全長を伸ばした例です。

写真手前にあるのが標準サイズのサイドリンクです。

この様子を図式化すると次のようになります。この場合にはサイドリンク両端の距離(円の半径)がノーマルよりも大きく
なるため、ボール位置の変化量がより少なくなります。このためリアポッドのロール動作がよりスムーズになります。もちろんシャーシ側ボールの高さを上げることで4WS効果も得られますが、そのステア量はノーマル時よりも少なくなります。