ベアリングの規格ABECとグリースについて

ラジコンで多く使われるボールベアリングですがラジコン界ではそのグレードについてあまり語られることが無いような気がします。ベアリングの精度をあらわす規格についてまとめてみました。 関連情報: 取扱いベアリングの一覧

個人的にベアリングの等級というとABECが馴染み深いのですがこれはAmerican Bearing Manufactures Association(アメリカ軸受け製造業者団体)が規定したものです。日本で規格というとJISが有名です。もちろんJIS規格でもベアリング精度については規定があります。ABECとJIS規格は次のように対応しています。

JIS 0級=ABEC1 <-- 精度低い
JIS 6級=ABEC3
JIS 5級=ABEC5
JIS 4級=ABEC7
JIS 2級=ABEC9 <-- 精度高い

JIS、ABEC共に下に書いてあるものほど精度が高いという事になっています。一般的にラジコン模型に用いられるベアリングはABEC1やABEC3のものが多いようです(個人調べ)。

ABEC等級で具体的にどんな違いがあるのかというと例えばベアリング内輪の振れ精度に違いがあらわれます。

等級
振れ精度
ABEC1
0.01mm
ABEC3
0.006mm
ABEC5
0.004mm
ABEC7
0.0025mm
ABEC9
0.0015mm

等級が上がるほど回転数あたりのブレが少ないということになります。現時点で kimihiko-yano.netから提供しているベアリングはABEC-7グレードになります(ベアリングメーカーさん曰くラジコン模型で使うのはもったいないというくらいの代物です)。ローコストベアリングシリーズはABEC-5グレードになります

ベアリングを使用する上で重要なファクターの1つにベアリング内部に封入するグリース(潤滑油)があります。ベアリングメーカーのカタログをみると様々なグリースが紹介されています。使用する環境温度や回転数、耐水性、価格など数百種もあるなかから最適なグリースを選択することができます。ラジコン用ベアリングは密閉式となっているので工場出荷時に封入されたグリースを使い続けることになり、グリースの重要性が問われることとなります。書籍などでよく紹介されるグリースには次のような種類があります。

ラジコン用にどのようなグリースが最適なのかはまだまだ勉強しなければならないことがたくさんあるのですが、現時点で kimihiko-yano.netから提供しているベアリングには数種のベアリング用グリースを使い比べて最適と思われるものを使っています。今後も実験を繰り返して必要があればグリースの入れ替えなども実施して品質改善していこうと思っています

名称 増ちょう剤 基油 滴点(℃) 使用温度範囲(℃) 機械的安定性 耐圧性 耐水性 用途
リチウムグリース Li 石鹸 鉱油 170〜190 -30〜+130 最も用途が広い。
万能形の転がり軸受用グリース。
ジエステル油 170〜190 -50〜+130 低温特性、摩擦特性に優れている。
小径軸受、ミニチュア軸受に適する。
シリコン油 200〜250 -30〜+160 不可 高温及び低温に適する。
油膜強度が低く高荷重用途に不適。
ナトリウムグリース
(ファイバグリース)
Na 石鹸 鉱油 150〜180 -20〜+130 優〜良 良〜不可 水分の混入により乳化するものがある。
比較的高温特性が優れている。
カルシウムグリース
(カップグリース)
Ca 石鹸 鉱油 80〜90 -20〜+70 良〜不可 良〜不可 耐水性に優れているが耐熱性に劣る。
低速・軽荷重の用途。
カルシウム複合グリース
(コンプレックスグリース)
Ca 複合石鹸 鉱油 200〜280 -20〜+150 極圧添加剤を含むものは、重荷重に適する。
万能形の転がり軸受用グリース。
カルシウム混合基グリース Ca+Na 石鹸
Ca+Li 石鹸
鉱油 150〜180 -20〜+120 優〜良 優〜良 良〜不可 耐圧性、機械的安定性に優れている。
衝撃荷重を受ける軸受に適する。
アルミニウムグリース Al 石鹸 鉱油 70〜90 -10〜+80 良〜不可 粘着性に優れている。
振動を受ける軸受に適する。
非石鹸基グリース
(ノンソープグリース)
ベントン,シリカゲル,ウレア,
カーボンブラック,等
鉱油 250以上 -10〜+130 低温から高温まで広範囲に使用できる。
基油と増ちょう剤を適切に組み合わせることによって、耐熱性、耐寒性、耐薬性などに優れた特性を示すものがある。
万能形の転がり軸受用グリース。
合成油 250以上 -50〜+200