ICSの効果

これまで何回かICSを使った実験をおこなってきました。ICSでバッテリーを放電したとき共通して見られる傾向は「放電時間が長くなる」という点でした。最新のGP3700セルでも同じ傾向が見られるのでしょうか?さっそく調べてみることにしました。

ICSに関する過去の実験は その1 その2 その3 をご覧ください。

今回はICSでGP3700バッテリーを放電し、そしてその直後に充電をおこないその5分後に30Aで放電をおこなうことにしました。実験では GP3700 ノンマッチドを組み立てた6セルパック2ヶを使いました。充電電流はいずれも6A、カットオフは0.04V/パック、放電電流は30Aです。

【実験方法】
@GP3700セルをICSで放電する。ICSに接続する時間は0、30、60、120、180、240分とした
A充電をおこなう
B5分後に放電をおこなう

上記@は下記操作で実施します。

1)プロトラックとICSを接続
2)ICSのスイッチをRUN側(放電)に切り替え
3)バッテリーをプロトラック、ICSに接続
4)プロトラックのメインメニューで Monitor --> Monitor Onlyを選択(カットオフ電圧は0.1V)
5)ストップウオッチで時間を測定
6)時間がきたらICSのスイッチをSTOPに切り替え
*放電中は#キーを押してバッテリーパック電圧画面にしておくとブザー音が鳴らず便利です

 

最新ROM Ver10,81ではMonitor機能で「Single Charge」が使えます。これを使えば各セルが0.1Vまで放電されると自動的に充電をおこなうことができます。非常に便利な機能なのでユーザの方は是非一度使ってみてください。

 

これはパック1の放電電圧の変化をグラフで表したものです。ちょっと細かくてわかりにくいですがICSで放電をおこなうと放電初めの40秒までは電圧が高めになっています。

そして何より放電時間に大きな差が現れていることがわかります。

これはパック2の放電電圧の変化をグラフで表したものです。こちらでもやはりICSで放電をおこなうと放電初めの40秒までは電圧が高めになっています。そしてこちらでも放電時間に大きな差が現れていることがわかります。

やはりこれまでの実験どおり放電時間に好影響を与えることがわかります

これはパック1の放電データを比べたものです。ICSによる放電時間が0、30、60、、と長くなると放電時間が長くなっていることがわかります。

パック1では最大21秒もの差がでました(ICSで2時間放電した場合)。放電平均電圧はICSで放電をおこなうと低くなる傾向ですが大きな差ではないようです。

AV1:放電5分までの平均電圧
AVE:放電全体の平均電圧

これはパック2の放電データを比べたものです。

やはりICSで放電すると放電時間が長くなり、最大23秒もの差が見られます(ICSで3時間放電した場合)。放電平均電圧はICSで放電をおこなうと低くなる傾向ですが大きな差ではないようです。この辺は実走テストでフィーリングを調べてみると良いかもしれません。

前回の実験レポートで紹介したCharge Indexでパフォーマンスを比較。ICSで120分放電した時が最もバランスが良いという結果です
パックでは180分放電してから充電した場合が最も良い結果となりました。

まとめ:ICSを使うと放電時間を伸ばすことができる。放電平均電圧はやや劣る傾向。ICSの効果は60〜180分の間で放電をおこなったときにあらわれる。